特集1 看護と死
往復メールがもたらしたもの
井上 誉子
1
1三楽病院
pp.23-24
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100177
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初めての看取りの体験
私が小宮先生にメールで伝えたこの看取りは,就職して1年目が終わろうとする3月にあった出来事でした。これ以前に私は,2人の患者さんの看取りにかかわっていました。そのうちの1人,就職して初めてかかわった看取りの場面が私にはとても衝撃的でした。
それは,私が就職して3か月目の頃だったと思います。日勤のほぼ終わりの時間帯に,ターミナル期にあった患者さんのモニターの心拍数が一気に下がり,心電図もほぼフラットになったのです。私は何をしてよいかわからないまま,先輩の看護師と一緒に部屋に入りました。先輩から「血圧を測って」と言われ,測ったのですが,もう腕では脈が触れないので血圧も測れません。患者さんの家族がいるので「血圧が測れない」とも言い出せず,「私には聞こえません」と小声で伝えたことを覚えています。そして先輩が測り,「低いですね」と家族に伝えていました。先輩も測れなかったのだと思います。その後先輩は,「井上さん,ここにいて」と言って部屋を出て行ってしまいました。
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