研究・調査・報告
―閉鎖病棟と開放病棟のおやつに関するアンケート調査をとおして―閉鎖環境が嗜好に与える影響
有馬 広美
1
,
大岩 咲子
1
1名古屋市医師会看護専門学校
pp.92-98
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100104
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
精神看護学の実習で、初めて精神科の病院を訪れて閉鎖病棟で実習を行なった。そのとき、3時になると患者がいっせいにホールに集まり、手の消毒後におやつを食べている光景を見た。
65~70人ぐらいの患者たちがいっせいにホールでようかんを丸ごと1本食べていたり、ジュースのふたを開けたと思ったらわずか数秒で飲み終えたり、チョコレート2~3個を1つの塊として一口で食べていた。チョコレート1箱全部食べるのに、5分とかからない姿に圧倒された。
精神科閉鎖病棟の患者たちが甘いものをたくさん食べていることに疑問を感じ、なぜ甘いものを好む傾向にあるかについて明らかにしたいと考え、中間カンファレンスの場で検討した。カンファレンスの事前準備として、閉鎖病棟でインタビュー方式にてアンケート調査を行なった。
その結果、閉鎖という環境で、好きなときに好きなものを買いに行けず、決められた時間にしか食べられないといった制限に原因があるのではないかと推測された。そしてカンファレンスの話し合いの中で、患者自身がいつでも好きなときに好きなものを食べること、また購入することが可能になると、状況が変わるのではないかという1つの仮説にたどりついた。その仮説を検証するために、開放病棟の患者にも同様の調査を行ない、両方の調査結果から、精神科における間食(おやつ)の現状について考察したので報告する。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.