マイ・オピニオン
精神科閉鎖病棟の中で
大淵 誠一
1
1鶴が丘病院
pp.609
発行日 1981年6月1日
Published Date 1981/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919254
- 有料閲覧
- 文献概要
2月のある寒い日,朝の申し送りが終わり,少し陽がさしているということで,みんな誘い合い屋上へ運動に行くことになった。寒くていやだと寝ている人,テレビを観ている人,レコードを聴いている人,そしらぬ顔で廊下を歩いている人たちなど,呼びかけにのってこない人は仕方なく残し,約半数の30名ほどで階段を登って行く.
屋上は寒く空気が冷たい.手をポケットに入れたまま軽く駆け足,柔軟体操,まだ体は温まらない.暖かい日は決まってバレーボールをやろうということになるが,今日は手が冷たく,途中で病棟へ帰る人たちを横目に見ながら,そのボールで三角ベースボールをやることになる.ボールが大きいので,力まかせにバットを振っても必ず当たる,少しは気晴らしになるだろう.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.