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●病棟の機能分化とは
精神科の病棟にはいろいろな種類がある。開放病棟か閉鎖病棟か、急性期病棟か慢性期病棟か、男子病棟か女子病棟か、これらは病院の中で病棟の性格を決め、人員の配置や病床管理をしやすくするための院内の機能分担である。
最近、精神科病床の機能分化が進んでいるといわれる。その場合でいう機能分化は、院内の病棟の性格づけのことではない。日本の医療のほとんどは保険診療で、診療報酬制度が医療にかかる費用の配分を決めている。医療機関の収入のほとんどはこの診療報酬で占められている。その診療報酬制度において、いくつかの条件を設け、条件を満たした病棟で治療を受ける患者1人当たりの支払い金額を定めている。その支払い金額が設定されている種類がいくつかあるという意味だ。
どのような性格の病棟をいくつもち、患者1人当たりいくらの診療報酬を受け取るかということは、病院を経営していく上でとても重要だ。それは治療を受ける側にとってももちろん同じで、診療報酬で支払われる金額のうち3割は自己負担なのだから、医療費がいくら請求されるかによって支払う金額が決まるのだ。
そして、病院の従業員としての我々看護スタッフが受け取る給与には病院全体の収益がかかわっている。特に看護職員が患者何人に対してどれくらい、どのような資格の者が何人配置されているのかということが診療報酬では大きな意味をもつ。病棟によってスタッフが多いとか少ないとか、看護補助職員の人数が違うということは、病院の管理者が勝手に決めているのではなく、看護の基準をどのような配置でとっているのかによって決められている。その配置によってケアの内容や質は大きく左右されるのだから、診療報酬は医事課や会計だけが知っていればよいとはいえない。
そこで、この回では診療報酬制度の上で精神科医療にかかわりのある病棟の機能分化についてわかりやすく説明することを目指したいと思う。
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