Japanese
English
特集 良質かつ適切な医療の提供—改正精神保健福祉法41条の具体化
病床機能分化,精神病床削減と地域医療の質の向上
Functional Differentiation and Reduction of Psychiatric Beds, and Improvement of Community Mental Health
松原 三郎
1
Saburo MATSUBARA
1
1社会医療法人財団松原愛育会松原病院
1Social Medical Corporation Foundagion of Matsubara-aiikukai Matsubara Hospital, Kanazawa, Japan
キーワード:
Functional differentiation of psychiatric hospital beds
,
Evaluation of psychiatric symptoms
,
Reform in psychiatric hospitals
,
Institution transformed from hospital beds
,
Reduction in psychiatric beds
,
Improvement of community mental health
Keyword:
Functional differentiation of psychiatric hospital beds
,
Evaluation of psychiatric symptoms
,
Reform in psychiatric hospitals
,
Institution transformed from hospital beds
,
Reduction in psychiatric beds
,
Improvement of community mental health
pp.869-877
発行日 2014年10月15日
Published Date 2014/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200007
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
はじめに
わが国では,多くの精神障害者が地域で生活する権利を奪われてきた。もちろん,すべての精神障害者が地域で生活ができるのではない。しかし,地域内での居住施設や生活支援などが整えば退院が可能な人達はおよそ10万人に達するものと見込まれているにもかかわらず,地域精神科医療・生活支援体制の整備は遅々として進んでいない。
長期在院者を生み出してきた要因は,①戦後の精神科病床不足の状況から脱するために,精神科特例が認められ,これによって低基準の精神科病床が多数出現した。②多数の入院病床が整備された結果,精神科病院は施設的な機能を併せ持つようになった。③医療保険制度が整備された結果,安価で安心できる長期入院が許容され,それに代わる地域施設が少数にとどまった。④財源不足のために福祉施策が立ち遅れたが,それだけでなく,医療保険施策が入院中心に偏り過ぎて,在宅の精神科医療に目が向けられなかった。⑤家族同意による医療保護入院が,安易な強制入院を許してきた。
このように,長期入院を許してきた要因は多岐にわたっており,精神科医療の改革は,地域精神科医療・生活支援体制の整備だけにとどまることなく,精神科医療の中心を担う精神科病床の改革や入院に関わる法の整備にまでも及ぶ必要がある。精神科医療では,入院医療と地域医療・生活支援が一体となって,あるいは医療と福祉が一連のものとなって改革が進められるべきである。
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.