連載 アーキテクチャー 保健・医療・福祉 第19回
療養型病床群
山下 哲郎
1
1名古屋大学工学部社会環境工学科
pp.471-479
発行日 1996年5月1日
Published Date 1996/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901810
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療養型病床群の制度概要
戦後病院の機能体系は,一般病院・結核病院・精神病院・その他として大きく4つに分けられていたが,現実には,一般病院として区分されている病院の中にも,高度で先進的医療を積極的に提供している大学病院・がんセンター・成人病センターや,高齢者福祉と境界領域の比較的近い老人医療を提供している老人病院,等が混在することになり,昭和60年代には,こうした医療施設の機能分化の機運を迎えることになる.こうした中で,医療施設の類型化について検討し,具体的に類型についての提案を行った研究が,昭和63年度厚生科学研究の補助金で行われた(「医療機関の効率的運用指針の策定に関する研究(主任研究者:大池真澄)」).この研究報告書では,「今後の期待される機能に基づく類型化」として,表1のような類型化が提案されている.
この研究以降,医療施設の類型化に関わる議論がまき起こり,多くの検討を経て,1992年6月に国会において特定機能病院・療養型病床群の新設を含む,いわゆる第2次医療法の改正が行われることになる.この中で,療養型病床群については,「長期入院を要する患者にふさわしい医療を提供するため,一般病床中に療養型病床群の制度を設ける」とし,
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