これからの医療と医療制度・3
療養型病床群
寺崎 仁
1
1日本大学医学部医療管理学
pp.641
発行日 1994年3月10日
Published Date 1994/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902661
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「療養型病床群」とは何とも奇妙な名称であるが,分かりやすく言えば,長期療養に適した「病棟」あるいは「看護単位」のことである.何故,このような造語を作る必要があったのか.それは,現行の医療法には病棟や看護単位を意味する規定がなく,また医療の現場でもその運用や言葉としての使われ方がさまざまなので,法律上では「病棟」なるものを「一群の病床」という語句で表現する必要があったからである.また,「長期療養型病院」としなかったのにも訳がある.現場の病院経営者にすれば,病院全体が長期療養施設となることは,医療行為の中でも最もそれらしい急性期の医療を手放すことになり,彼らには極めて不本意で抵抗も多いだろうと配慮したからである.さらに,わが国の一般的な病院が,入院機能として急性期医療と慢性期医療の両者を,併せ持って運営されている実情をも考慮した結果である.
言葉の問題はともかく,この「療養型病床群」とは「長期入院患者に適した医療を提供する施設」のことで,平成5年4月施行の改正医療法により「特定機能病院制度」とともに創設された新しい医療施設体系である.
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