特集 思わず膝打つ「現場の工夫」
➁痴呆ケア病棟 夕暮れ症候群に有効だった紙芝居
梅野 美代子
1
,
根本 清美
1
,
白澤 礼子
1
,
笹生 恵子
1
1袖ヶ浦さつき台病院・痴呆病棟
pp.23-26
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100073
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夕暮れ症候群は周囲を巻き込んで
痴呆の周辺症状で施設や家庭での介護が困難となった患者さんが入院している老人性痴呆治療病棟は、平均年齢が75歳前後で女性が多い。15時のおやつが済み夕食までの時間帯は、帰属本能か、生活習慣からか、帰宅願望が強くなる(写真1)。1人の不穏症状は周囲を巻き込み、対応する職員さえも巻き込みながら、広がっていく。何とかしなくては……と思い、テレビ、音楽、ビデオなどの受身的なものを試みたが、いまひとつ集中できない様子だった。
テレビは話の筋が理解できない。歌に興味のない人にとっては、歌も騒音の一部。ただ流される画面や音に反応する1コマがあるとすれば、それは「電話がなっている。電話、電話」など、テレビと現実との区別ができずに、不安な気持ちをかきたてる材料になるばかり。そして職員にその不安を訴える行動につながっていく。
職員もトイレ誘導、おむつ交換、記録など業務が重なるあわただしい時間であり、不安や、帰宅要求などの訴え(写真2)で不穏を呈する病棟の雰囲気は険悪になる。それが患者さん同士のトラブルを生み出し、対応する職員のイライラもピークになる。
受身的でその場しのぎの対応ではいけないと、午後のレクリエーションの必要を強く感じて、職員で話し合った。
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