視座
脊椎固定術の夕暮れ
野原 裕
1
1獨協医科大学越谷病院整形外科
pp.713
発行日 1998年6月25日
Published Date 1998/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408902455
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脊椎外来を担当していると老人との出会いが少なくない.「老化現象は治らないのですか?」という質問はよくされる.若返りの妙薬を開発中ですと答えているが,真剣な表情をみると無力感におそわれる.私たちのなせる手術は根治的とは言っても所詮対症療法に過ぎないのである.
その状況に変化はないが,近年の脊椎外科の治療成績は著しく向上した.その要因は画像診断を含む病態把握力の進歩,それに対応した術式の開発・実践,さらに脊椎インストゥルメンテーションの出現である.脊椎外科医は洗練され,その結果は保存療法へもフィードバックされてきた.一昔前,脊椎外科は君子危うきに近寄らずであったことを思うと隔世の感がある.
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