連載 当事者研究・17
「“暴走型”幻聴」の研究―パートII 「幻聴さんマップ」を活用した新たな自己対処法
臼田 周一
1
1べてるしあわせ研究所
pp.94-97
発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100012
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1.はじめに
前号で紹介したように〈臼田周一〉の自己病名は「統合失調症・体感幻覚暴走型」である。もう10年以上も「見える」「感じる」「聞こえる」の3つの症状に振り回される毎日を送ってきた。2002年10月に浦河で一人暮らしに挑戦してからも、天井や床下から声が聞こえ、住居の脇の通学路を歩く高校生のからかうような声に頭にきて、窓からにらみ返していた。とくに天井から声が聞こえたときには、誰がいるのか突き止めようとして押入れの天井から屋根裏に上がり点検したまではよかったが、天井板を踏み抜いて転落するというアクシデントがあった。しばらく、部屋の天井には人型の大きな穴が空いていた。
長い間、暴走する体感幻覚に振り回されて苦労してきたが、前回報告したように体感幻覚の自己チェックと対処法を仲間とともに試みるようになってからは、身体に感じる圧迫感とはなんとかつきあいやすくなったような気がする。
そこで今回は、今まで一番苦労してきた幻聴さんへの対処法について研究することにした。
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