連載 精神看護キーワード事典・5
―a point of view―プライバシーは誰を守るのか―援助職にパラダイム転換が問われている
信田 さよ子
1
Sayoko Nobuta
1
1新宿カウンセリングセンター
pp.105-107
発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100014
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
●名づけられ認知された暴力
虐待やDVなど家族内暴力は、従来の援助職、専門家の基本的立場を揺るがすのではないかと考えている。その理由は、自分たちの職場という城のなかで“援助をします”と待っていても何もできないこと、暴力には加害者と被害者の双方があり、援助者は被害者の立場に立ってはじめて専門家としての資格が保証されること、それはそのまま加害者と対決することを意味すること、などである。
これをまとめれば「専門家は中立の立場を降りなければならない。なぜなら中立とはかならず加害者の立場に転化していくから」ということである。
それは、治療から、被害者救済へのパラダイム転換である。それは、病気を治療するという疾病モデルから、積極的に問題にかかわっていくソーシャルワーク的介入モデルへの転換でもある。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.