介護保険関連ビジネス最前線・2
地域社会づくりを基盤にしたサービスの創出・提供をめざす―生活協同組合東京マイコープ・桑原由次氏に聞く
桑原 由次
1
,
本誌編集室
1生活協同組合東京マイコープたすけあい事業本部福祉事業
pp.630-638
発行日 2000年8月15日
Published Date 2000/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688902386
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介護保険制度においては,居宅サービスの供給量を短期間に大幅に増やす必要があったうえ,利用者自らがサービスを選択するというこの制度の理念からも,居宅サービス事業者の参入要件は非常に緩やかなものとなり,法人格を有し人員・設備運営等の基準を満たしていれば,営利・非営利を問わず事業者となる道が開かれた.いわゆる民間活力の導入と呼ばれる動きであるが,民間活力と一言で言っても民間営利企業から特定非営利活動(NPO)法人まで,そこには事業の目的や性格が異なるさまざまな事業体が含まれている.中でも農業協同組合や消費生活協同組合といった組合員組織に対しては厚生省の期待も大きく,参入を促す措置がとられた.農協については農業協同組合法,生協については消費生活協同組合法がそれぞれあり,活動地域の制限や組合員以外の利用を禁止するなど,類似の事業を展開している民間事業との競合を避けるための制約が課せられているにもかかわらず,居宅サービス事業についてはその規定は適用除外とされたのである.
これらの組織はもともと組合員の生活改善や文化の向上,生活の共済を図ることを事業の主な目的としているうえに,営利組織ではないので,一定程度の質の担保という意味でも安心感があったのだろう.また,理念的には近いと思われるNPOとの比較では,事業規模が小さく組織的にも未熟なNPOと比べ事業の安定性という点で優位にあることは間違いない.
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