特集 重すぎませんか?ケアマネの負担―事務職との役割分担,兼任看護婦のこれから
特集3
ケアマネジャーの今後を考える―モニタリングで問われる本当の実力
鷹野 和美
1
1広島県立保健福祉大学
pp.625-628
発行日 2000年8月15日
Published Date 2000/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688902384
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科学的なケアマネジメントの必要性
介護保険におけるケアマネジメントの機能は,要介護者・要支援者とその家族(利用者)の生活の質(QOL:quality of life)を高めるために,利用者の介護ニーズに的確に応えるべく社会資源を活用することである.ケアマネジャーは,正確なアセスメントによって利用者のニーズを把握し,多様なサービスの中からもっとも効果的なものを利用者とともに選定し,それらを提供するサービス事業者間の調整を行なうことになる.関係職種とともに検討し立案されたサービス計画は,利用者のQOLの向上に直結するものであるばかりでなく,有限の社会資源と財源(市町村の特別会計)の有効利用という観点から費用対効果にも十分に配慮されたものでなければならない.
したがって,ケアマネジャーは,欲求(demand)をニーズ(needs)として取り扱うことのないよう留意しなければならない.例えば,リハビリテーションによっても歩行することの不可能な神経系の難病の利用者が「もう一度自分の足で走りたい」と言ったときだ.これに情緒的に応えて訪問リハビリテーションをサービス計画に採用すると,歩行に関して利用者にさらなる絶望感を与え,真に訪問リハビリテーションを必要としている他の利用者の受給の機会を奪ってしまうことにもなりかねない.
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