特集 短期入所と通所サービスをめぐる課題
特集6
地域と施設の“いい関係”をめざすには
老健を取り巻くショートステイとデイケア
高木 由姫子
1
1介護老人保健施設練馬ゆめの木(ケア課)
pp.908-912
発行日 2000年11月15日
Published Date 2000/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688902093
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介護老人保健施設の役割
介護保険制度のスタートで老健は,逓減制を気にする必要がなくなりました.老人保健制度の逓減制は,入所期間により施設に支払われる療養費が段階的に減額されてゆくもので,1~3か月のケアプランの作成や成果の見直し,評価を考える一方で,どんなに長くても6か月を目安に退所していただかなければ,施設の経営に影響がでてきてしまうという問題を抱え続けてきました.これは,全く家に戻れる条件のないお年寄りに,次の6か月を過ごせる老健に移っていただいたり,「家に帰ります」と称して,家族の都合で自宅へは戻らずどこかの老人ホームで,再利用に必要な在宅期間を過ごしては,また同じ老健に戻って来るというお年寄りにとっては,迷惑な状況をつくり出していました.介護保険制度により必要な期間,十分利用できる条件ができた一方で,期限を定めて退所しなくてもよいという解釈も出てきて,「在宅を支える施設」としての老健の位置づけをもう一度認識しなければ,家へ帰りたいと願うお年寄りの気持ちを汲めないことになってきています.
なかでも痴呆症状のある方は,24時間体制のケアが必要で,在宅を決心して目一杯のホームヘルプを利用しても主介護者である家族の疲労は誰も代わることができず,施設を長期にわたって利用するのも仕方ないことになってきています.
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