特集 褥瘡ケアUp to Date・1
褥瘡ケア最前線―訪問看護師としてはこれだけは知っておきたい
北川 敦子
1
,
真田 弘美
1
1金沢大学医学部保健学科
pp.618-638
発行日 2002年8月15日
Published Date 2002/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901532
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はじめに
褥瘡ケアは2つの大きな施策によって変わりはじめています。最初の施策は2000年の介護保険の導入であり,施行から2年が経過し在宅でケアを受ける対象が増えてきました。2つ目の施策は本年10月から施行される厚生労働省の診療報酬改定です。これには「褥瘡対策の評価」という項目が新しく設けられました。つまり褥瘡対策を行なっていない病院は,褥瘡発生の有無にかかわらず,全入院患者1人当たり毎日5点ずつ減点されるというものです。現在病院では,褥瘡対策チームを結成し,対策評価を可能にするため診療計画書が作成されるなど,10月に向けてその準備が進んでいます。これに伴い,従来その必要性を指摘されながらも実施が困難であった褥瘡のリスクアセスメントがなされ,チーム内でその専門性を出し合うことでより的確な褥瘡ケアが実施されるのでは,と期待しています。
また,施策以外の面でも褥瘡ケアを受ける対象の環境は変化しています。例えば日本褥瘡学会による新しい褥瘡評価スケールや,新しい褥瘡治療薬剤およびケア用品の開発などです。こうした状況の中で訪問看護師の役割も大きく変化していきます。院内の褥瘡対策チームと在宅ケアの橋渡しとしてのコーディネーターの役割,および入院中からの継続したケアを提供する者としての役割がそれです。そのためには,訪問看護師は最新の褥瘡リスクアセスメント能力や,アセスメントをもとに褥瘡ケア技術をもつことが重要となります。
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