特集 痴呆ケアについて知っておきたいこと
痴呆高齢者の理解と介護者への支援
細谷 たき子
1
1福井医科大学看護学科地域看護
pp.348-351
発行日 2002年5月15日
Published Date 2002/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901484
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
痴呆高齢者の理解
夫の排泄の問題に困った妻が,ポータブルトイレの相談に在宅介護支援センターに来所したことから,専門職による夫の痴呆症状への対応が開始されたことがある。若い時は学校の教師をしていた夫の行動が正常でなくなった。夜に廊下のつきあたりで排尿し,翌朝は悪びれることもなく覚えていない。妻が夫に問いただしても夫は頑固になるばかりで埒があかなかった。
痴呆は人格の知的障害であるともいわれ1),この事例のように一度獲得した知能が低下して,人格が維持できなくなる状態になる。同居する家族やその周辺の人々が,認知機能の障害でどのような痴呆症状が現れるのかを知るのは,異常な行動へのケアを考えるうえで極めて大切である。
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.