特集 訪問看護に役立つコミュニケーション技術
痴呆症高齢者とのコミュニケーション―「自分らしく生きる」ための支援
石橋 典子
1
1白枝内科クリニック
pp.652-660
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100542
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痴呆も大切な人生の舞台
私は,痴呆症を含めて精神を病む人のケアに30年以上関わり,身近に接してきました。そして一番感じるのは,精神を病むということは体のある一部の機能の故障なのに,それによってどうして閉じ込められた人生になってしまうのか,ということです。精神を病むことも,その人にとって大切な生きる舞台ではないかと思うのです。
どんな病気になったとしても,たとえ四肢が不自由になっても,将来への希望を持って,人間らしく生きる権利があるように,痴呆症になっても,人間らしい生活を営む権利は当然あるはずです。しかし,現実はどうでしょうか。「痴呆にだけはなりたくない」「痴呆になったらおしまいだ」と多くの人が思っています。
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