増刊号特集 泌尿器科 病棟管理マニュアル
Ⅲ.ベッドサイド処置の実際
高齢者の痴呆(psycho-urology)
野口 満
1
,
金武 洋
1
Mitsuru Noguchi
1
,
Hiroshi Kanetake
1
1長崎大学医学部泌尿器科
pp.168-172
発行日 2002年3月30日
Published Date 2002/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413904598
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1 はじめに
泌尿器科領域においては,もともと高齢者の占める割合が高いのであるが,近年の平均寿命の延長に伴いさらにその割合は増加している。年齢と痴呆の発症とには密接な関係があることから,当然,痴呆症をもつ高齢者泌尿器科疾患患者も多くなっている。高齢社会と医療の進歩により高齢者に対する手術適応は拡大され,高齢者の周術期には「不穏」,「惚け」,「錯乱」,「せん妄」などと表現される精神症状が出現し,日常の臨床の場において多くの問題が生じることはどなたも経験していると思われる。痴呆性疾患に罹患しやすい75歳以上の後期高齢者は2020年には全人口の13.4%に達すると推測されている。このことから,今後さらに痴呆症をもつ高齢者の泌尿器科疾患患者の増加が予想される。医療事故の問題が頻繁に取りざたされている今日,痴呆症のある高齢者においては,よりこまかな治療計画のもと高いレベルの医療が要求される。
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