特集 痴呆高齢者の転倒・転落事故は防げるか?
痴呆を理解し介護理念を共有する試み
浜本 伸子
1
1特別医療法人恵和会介護老人保健施設アメニティ西岡
pp.29-34
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100378
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近年,高齢者の転倒は全国的に大きな問題となっている.わが国の長寿・高齢化は周知のとおりであるが,当然,施設利用者も高齢化が進んでいる.高齢化に伴う身体機能,認知機能の低下は著しく,とくに痴呆性高齢者の転倒事故への対応には,大方の施設で苦慮されていることであろう.
去る10月15―17日,介護老人保健施設全国大会が札幌市で開催された.そこで「老健にお入りの方々の幸せをどう考えるか―痴呆性高齢者のケアをめぐって」というタイトルのシンポジウムをきいた.シンポジストの1人である麦谷眞里厚生労働省老健局老人保健課長が,「2002年9月末現在,全国の痴呆性高齢者は149万人,そのうち介護を必要とする方は約79万人であった.今後も急速に高齢化が進み,痴呆性高齢者は増え続け,結果として要介護者も増え続けることは目に見えている」と話されていた.筆者らの施設も例外ではなく,利用者の8割は何らかの認知障害があり,また転倒事故の9割近くは痴呆性高齢者の転倒事故であったこともデータとして記録されている.毎月,数件ではあるが報告される転倒事故に,職員一同心を痛めている.
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