連載 快適な療養生活のために―生理人類学への招待・19
介護とロボット支援
下村 義弘
1
1千葉大学工学部デザイン工学科
pp.850-854
発行日 2002年10月15日
Published Date 2002/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901408
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はじめに
みなさんはこの連載にロボットという単語が出てきて,「なぜ?」と不思議に思われたことでしょう。ロボットとはチェコの作家カレル・チャペク(1890~1938)が,戯曲「ロッサムズ・ユニバーサル・ロボット」(1921)の中で登場させた人造人間がその始まりであると言われています。チェコ語で“robota”は強制労働・服役を意味しています。つまり人間に代わってさまざまな作業を自動的に行なうものをロボットと呼び,程度の差はあるものの,神話の時代から現代まで人間が作り続けているものです。
ロボットの中でも特にヒト型の“人造人間”は,SF小説の中ではアンドロイドやヒューマノイドと呼ばれています。錬金術師がその腕を競ったといわれる人造人間ホムンクルスから,産業革命の起爆剤となった自動紡織機,そして日本が世界の半数以上の保有台数であるといわれる産業用ロボット,さらには鉄腕アトムのような感情すらも備えた万能ロボットを目指して,これまで不可能といわれてきた自律型動的2足歩行ロボットが日本で実現しています。まさに人類の飽くなき夢を追いもとめた驚くべき歴史です。
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