特集 いま求められる在宅栄養管理とは
特集2
医師から見た在宅療養者の栄養管理―その問題点と提言
神津 仁
1
1神津内科クリニック
pp.894-899
発行日 2001年11月15日
Published Date 2001/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901236
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はじめに
平成4年の医療法改正により,患者の居宅が医療を行なう場として法的に規定された。それまでは,医療機関の外来診療において診察,検査,処置,投薬が行なわれるか,あるいは入院して同様の医療的管理が行われるかの2つしか選択ができなかった。そのため,慢性疾患において長期臥床を要する患者や,cureよりcareが必要なさまざまな病態の患者(老衰や末期ガン患者等)の入院が長期化する傾向を示していた。また,社会的入院などといわれた,身寄りのない患者や家庭介護の不可能な患者が,急性期疾患を扱うベッドを占有していたことも問題となった。国は,次第に非効率化していった日本の医療環境を是正するため,いくつかの構造改革をすすめたが,その1つが在宅医療の導入であった。
在宅医療を行なう上での保険診療上の基盤整備は,昭和61年頃から「寝たきり老人訪問診療料,同訪問指導管理料」が新設されて始められ,昭和63年には「在宅患者訪問看護指導料」が,平成4年に「寝たきり老人在宅総合診療料」が,平成6年には「在宅時医学管理料」「在宅患者訪問24時間連携体制加算」などが次々と保険医療の中に組み込まれていき,医療機関にとっては在宅医療を選択する際のインセンティブとなった。また,平成4年からは訪問看護ステーションが活動を開始し,医師の指示の下に看護婦が在宅医療チームの一員を担うことによって居宅での医療の幅が広がっていった。
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