特集 社会医学
結核在宅療養患者の問題点
石井 芳子
1
1川崎市中原保健所
pp.609-612
発行日 1961年11月15日
Published Date 1961/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202457
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結核対策の重点は潜在患者の早期発見,早期治療のための健康診断と発見された患者および家族の管理,適正な医療にあるといわれている。川崎市中原保健所は管内人口約18万5千をもつ都市型の保健所として,昭和34年度より結核予防対策推進地区に指定され,結核住民検診受診率約50%をあげてきたが,昨年度よりとくに潜在患者の多いと思われる老人層,小企業,商店従業者などに対して重点的に住民検診を行なつている。一方発見された患者については,昭和34年4月より所内結核管理委員会を設けて,その管理にあたつてきたが,一律に患者管理が行なわれるために,これだけでは処理しきれないさまざまの問題を持つ患者も多いので,昭和35年より月2回の問題ケース,管理委員会を別個に開いてその問題解決に努力してきた。問題ケース管理委員会は,所長,医師,保健婦,ケースワーカー,担当事務職員で構成され,その問題により,他の関係職員が加わる。このことにより,従来よりも問題解決への糸口もみつかりやすくなり,相当の効果をあげ得たと思われるが,なおこれらの関係職員だけでは解決できず,未解決のままおかれるケースも多くあり,この現状を把握するために,昭和36年5月末日現在,結核登録患者総数3,524名のうち活動性感染性で要入院と思われるのに自宅療養をしていて入院できない患者151名について調査したので発表する。
第1表は入院患者と在宅患者とを対比したものである。
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