特集 いま求められる在宅栄養管理とは
特集1
いま求められる在宅栄養管理サービス―介護保険制度での現状と課題
松月 弘恵
1
1東京家政学院大学家政学部
pp.886-893
発行日 2001年11月15日
Published Date 2001/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901235
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生活を基盤とした栄養管理
高齢者にとって,食事は栄養補給源であるだけではなく,生活の楽しみである。しかし療養者の多くが食事をしたり入浴をするなど,当たり前の生活ができないことが多い。これは買物,料理,喫食という一連の過程が,視力低下や歩行移動の障害,意欲の低下などのさまざまの問題で損なわれたためである。太田は在宅療養に関して,「生活という視点に立つと医療と福祉を明確に区別することはできない」とした上で,「食事が満足になされていない患者に対して薬を投与することを医療という訳にはいかない」と述べている1)。また西山は高齢者ケアのスタンダード化の項目に「栄養管理,栄養アセスメント,栄養プラン」を含めている2)。このように生活の視点が不可欠となる食生活は,医療管理と福祉を支える基盤となるものである。
もとより在宅療養者の食生活には多くの職種が関わってきた。ヘルパーの家事支援,ボランティアや民間業者が行なう配食事業は物的側面からの支援であり,また,食生活指導は管理栄養士が行なう訪問栄養食事指導のみならず,看護婦は生活と療養の立場から,歯科衛生士や言語療法士は口腔ケアや摂食機能訓練の立場からアドバイスを行なってきた。しかしその内容は必ずしもevidenceに基づく効率的なサービスがなされていたとは言いがたい。
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