特集 在宅で叶える食支援—訪問看護の摂食嚥下ケアをアップデートしよう
多面的・包括的な食支援を促進するKTバランスチャート—在宅現場への紹介と地域での展開/〈コラム〉訪問看護にKTバランスチャートを導入する意義と目標
小山 珠美
1,2
,
大村 愛子
3
1NPO法人口から食べる幸せを守る会
2JA神奈川県厚生連伊勢原協同病院摂食機能療法室
3ケアマネ愛あいリハビリ訪問看護ステーション
pp.236-242
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688201153
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口から食べるバランスチャート(KTBC)開発の背景
2010年に高齢化率21%を突破し、さらなる超高齢社会への道を歩んでいるわが国では、経口での栄養摂取に困難をきたしている要介護高齢者が増え続けている。人間にとって口から食べることは単なる栄養補給ではなく、多くの場合で生きる喜びとなっているが、その希望に反して、人工的な栄養療法のみを受けながら生活を余儀なくされている人々が多く存在するようになった。誤嚥性肺炎や低栄養の懸念が先行し、十分な口腔ケア、姿勢ケア、安全な食事介助などのアプローチを受けられないままに、食べることを断念させられる人も少なくない。
その背景には、医療・介護現場における食支援のための知識・技術の普及が十分に進んでいない現状がある。必ずしも必要でないケースでの非経口栄養への依存、嚥下機能の評価や、食べる支援技術の脆弱性、包括的支援の不足などの問題が挙げられる。社会変化のスピードが早すぎて、現場のスキルアップが追いつかなかった側面もあるだろう。
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