連載 がん患者の“食べる”に寄り添う ~食べることをあきらめない~ 【2】
包括的食支援によるKTバランスチャート®を用いたアセスメント
小山 珠美
1
1NPO法人口から食べる幸せを守る会 理事長,JA神奈川県厚生連伊勢原協同病院摂食機能療法室
pp.289-293
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_289
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はじめに
がん患者は程度の差こそあれ食べることに困難感を抱く場合が少なくない.摂食嚥下障害だけでなく,食欲低下,吐き気,口腔機能低下,痛み,心理的苦痛など個人差や病期にもよるが,多面的・包括的なアセスメントが必要である.また,回復過程をたどる人もいれば,終末期として支援しなければならない人も存在する.これまで食べることに困難感を抱えている人への評価票は,対象者の障害や不足な部分が焦点化され,特定の職種や専門家のみにしか評価できないようなものであったり,心身の一部分のみが強調されている傾向にあった.また,その評価結果から,食べることを進めていくためのアプローチについてのヒントが得られにくいものであると感じていた.このような観点から,当事者主権であり,多職種で行う包括的食支援ツールとして,観察とアセスメントから全体像を評価し,食べたい希望をサポートできる評価ツールとしてKTバランスチャート®を開発したため紹介する.
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