連載 認知症の人とその家族から学んだこと—「……かもしれない」という、かかわりの歳月のなかで・第9回
認知症の人と介護家族の人生の物語にふれて思うこと
中島 紀惠子
1,2
1新潟県立看護大学
2北海道医療大学
pp.60-61
発行日 2018年1月15日
Published Date 2018/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688200856
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物語には時代の扉を開ける力がある
今年の夏頃から、若年性認知症の人が書いた本が相次いで出版された。どの本にも、診断にたどり着くまでの苦労と告知され頭が真っ白になって閉じこもった数年を経て、ようやく身につけた新たな生活スキルのことと、これからの人生に対する希望が語られている。物語は、語り手の生きている時代の観念、感情、家庭や職場での対人関係、さらには広く共有されるイメージ、経済的な力、ケアや福祉の社会的機構などを色濃く映し出す*1。
今回は、認知症の人とその介護家族との物語を特徴づける時代として、わが国の1970年代から今日までの約50年間を顧みようと思う。
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