先輩からのエール
オリジナルを学び その真髄にふれる
松本 隆之
1
1麻田総合病院リハビリテーション科
pp.851
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100578
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昭和34年春に,私が香川県立ひかり整肢学園に就職したとき,寺沢幸一園長から勉強するようにと手渡された本がダニエルスの『筋力テスト』であった.これが私の理学療法士としての第一歩であり,現在の発達運動学的治療の重要な基礎の一つにもなっている.
就職した当時は,高木憲次先生の「療育」の理念のもとに肢体不自由児の医療,教育や社会福祉制度が改革されてきだしたころであり,克服意欲・克服治療の名のもとに障害児自身も社会とのつながりを重要視する指導がされていた.またフェルプスの15の治療手技,「母親へのガイド」などによって脳性まひ児の治療効果をあげようと努力した.やがてボバースによる治療概念,方法が紹介されるようになり,私たちも寺沢園長の訳する「脳性麻痺の運動障害」を少しずつ訳された部分から検討し治療に用いるようにしてきた.しかしこれを十分に理解する能力に欠けていたのか,基礎が不足していたのか,なかなかうまく取り入れることができなかったように思えた.
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