カラーグラフ 終える命 つなぐいのち・第15回
路上で生きるということ
國森 康弘
pp.463-467
発行日 2016年6月15日
Published Date 2016/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688200472
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国外の紛争地や経済困難地域を訪れる一方で、大阪・釜ヶ崎や東京・山谷を歩いた。紛争の激しかった南スーダンやソマリアの平均寿命は50歳前後。日本では男性も80歳を超えるなど世界一の長寿国を誇っているが、大阪市西成区の男性平均寿命は70歳そこそこ、なかでも野宿生活者や日雇い労働者が多く暮らす釜ヶ崎では60歳台ともいう。
雨の夜長に路上で眠る人。酒の空き瓶を転がして、昼間に行き倒れている人。血を流して、失神している人……。筆者も何度か、救急車を呼んだ。病気や栄養失調、寒さによって、路上で死ぬ人が後を絶たない。大阪市内だけで200人あまりが道端で亡くなった年も。ある意味、死がすぐ隣に控えているような、張り詰めた感のある場でもあった。
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