Japanese
English
原著
路上生活者の両下腿に生じたelephantiasis nostras verrucosaの1例
A case of elephantiasis nostras verrucosa occurring in a homeless man
綿貫(工藤) 沙織
1
,
石橋 正史
1
,
山本 享子
1
,
陳 科榮
1
Saori WATANUKI(KUDO)
1
,
Masafumi ISHIBASHI
1
,
Kyoko YAMAMOTO
1
,
Ko-Ron CHEN
1
1東京都済生会中央病院皮膚科
1Division of Dermatology,Tokyo-to Saiseikai Central Hospital,Tokyo,Japan
キーワード:
象皮症
,
elephantiasis nostras verrucosa
,
リンパ浮腫
,
路上生活者
Keyword:
象皮症
,
elephantiasis nostras verrucosa
,
リンパ浮腫
,
路上生活者
pp.290-295
発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102854
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要約 57歳,男性.初診の約半年前より路上にて1日中坐位で生活した.3か月前より両下腿に浮腫と皮疹が出現し,その後,増悪し右足痛のため歩行困難となり受診した.初診時,両下腿は厚い痂皮を付して腫大し,一部は乳頭状小結節が多発集簇し紅褐色局面を呈した.皮膚生検病理組織像では,過角化と偽癌性増殖,真皮の肥厚と線維化,真皮浅層の血管の増生,真皮中層のリンパ管の拡張を認め,elephantiasis nostras verrucosaと診断した.右足潰瘍はガス壊疽と慢性骨髄炎を伴い下肢切断術を要した.左下腿の病変は洗浄と尿素クリーム外用,圧迫で改善した.自験例は路上生活に伴う坐位睡眠や不潔,低栄養などにより発症したと考えた.象皮症は稀な疾患だが加療が遅れると難治となる.本邦でのこれまでの報告例を含めて検討し,症例ごとに発症の原因を十分に検討して加療することや,自験例のように潜在する深部感染症などを見逃さないことが重要であると考えた.
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