人生をあきらめない女たち

　81歳でプロの女優デビューをした人がいる。9月号でとりあげた蜷川幸雄さん主宰，さいたまゴールド・シアターの重本恵津子さんだ。

　重本さんは1925（大正14）年生まれ。太平洋戦争まっただなかの1942（昭和17）年に北九州で高等女学校を卒業したが，男性は戦場に駆りだされ教師の数が足りないので，17歳で小学校の先生になる。終戦と共に重本さんの青春は始まった。詩人グループが立ち上げた素人劇団の仲間に入って，昼は先生，夜は演劇という日々を楽しんだ。