連載 花凪の人々─なりたい自分になる介護・6
下宿人たちに育てられている実感
木村 美和子
1
1NPO法人在宅生活支援サービスホーム花凪
pp.964-965
発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100592
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みんなで決めたこと
2002年の花凪の行事は,短大で音楽を専攻する今野美智子さんによる声楽コンサートに始まりました。音楽が大好きな下宿人たちが唱歌を口ずさみ,穏やかに笑う様子を見て,「ようやく落ち着いた生活になりそうだわ」などと思ったものでした。けれど,後になって振り返ってみると,それはつかの間の安息にすぎませんでした。なぜなら3人目の下宿人,Sさんは,2人に優るとも劣らない個性的な人だったのです。
2月のある日,かつてKさんの相談をもちかけてきたケアマネジャーから「同居の息子さんが入院した後1人で住んでいるSさんという82歳の女性をショートステイで受け入れてもらえないか」という依頼がありました。常時介護が必要な状態にもかかわらず,本人は「他人の手は借りたくない」と拒んでいる,とのことでした。
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