連載 ケアと現代・8
ケアする人の満足—自分の気持ちが実感できる援助とは
佐藤 俊一
1
,
岸 良範
2
,
平野 かよ子
3
1鹿児島経済大学社会福祉学科
2埼玉医科大学短期大学
3国立公衆衛生院公衆衛生看護学部
pp.690-693
発行日 1992年8月25日
Published Date 1992/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900634
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援助者の気持ちにアプローチするため,今回はケアする人の満足という問題に焦点を当ててみる。いろいろな現場で,ケアがうまく伝わらず不満足の気持ちを持ち続け仕事をしているということをよく聞く。援助者のどんな態度が不満足をもたらしているのか,満足はどんな時に感じることができるのか,援助者にどんな効果をもたらすのかを考えてみたい。
また,前回より援助者の気持ちの問題について述べていることは,起こっている現象や対象者に適切にコミットするために,どうしても確認しておかねばならないことである。通常,客観的に対象者にアプローチするために,援助者の感情の表現を抑え(知性を優先させ)たり,時には排除するように言われたりすることがある。しかし,誰もが気持ち(心理学でいう単なる感情ではない)からまったく自由になることはできない。むしろ,そうした援助者自身の気持ちに正しく気づくことや,必要に応じて伝えていくことが,援助者として対象者に適切な態度をとることになるのである。
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