特集2 訪問看護ステーションを核とした小規模多機能化事業
通所介護施設を利用した通所看護―能代山本訪問看護ステーション,結いの里での取り組み
山崎 京子
1,2
,
内田 陽子
3
1能代山本訪問看護ステーション
2NPO法人結いの里
3群馬大学医学部保健学科看護学専攻
pp.836-845
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100571
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はじめに
■訪問看護ステーションと「結いの里」について
能代山本訪問看護ステーションは医師会立で1995年7月に開設され,秋田県北部の1市1町1村(人口9万8000人)の農村地区を担当エリアとしている。介護保険発足時に,居宅介護支援事業所と訪問看護サテライト1か所を併設した。
エリアの高齢化率は29.1%で,脳血管性疾患の後遺症を持つ利用者が60%強,介護度4または5の利用者は全体の45%を占めている。一方,難病患者も,病院の在院日数短縮化に伴い,在宅療養へ移行している。
訪問看護の利用者数は月75人前後で,月のべ件数は450~500件である。ケア内容は,リハビリテーションが一番多い。1999年には,在宅での動作レベル別機能訓練標準化プログラムを開発した。訪問看護開設当時から24時間連絡体制をとり,医療ニーズへの対応,特に呼吸器系ケアに力を入れている。適切な排痰ケアを実施して肺炎が改善でき,入院を回避した実績もある。
しかし,急速な高齢化に伴い,痴呆症状を持つ利用者は当ステーションでも約60%を占めるようになった。だが,当ステーション周辺の施設,地域住民,家族などの現場では,まだまだ痴呆に対する理解は低い。そのような中,当ステーションの管理者である筆者の山崎は,軽度痴呆状態の高齢者が,不適切な対応から重度化し,精神科病院への入院を余儀なくされた例を目の当たりにして,NPO法人「結いの里」(痴呆専用単独型通所介護およびショートステイ事業)の起業を決意した。
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