特別記事
病弱者・高齢者のアドボカシーと高齢者虐待
髙﨑 絹子
1
,
吉岡 幸子
2
,
小野 ミツ
3
,
岸 恵美子
4
1東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科高齢者看護・ケアシステム開発学
2埼玉医科大学短期大学看護学科地域看護学
3広島大学大学院保険学研究科地域・在宅看護開発学
4自治医科大学看護学部地域看護学
pp.847-855
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100573
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はじめに
高齢者虐待防止に関する状況
■取り組みの活発化
人権に対する意識が低いといわれる日本であるが,マスコミを騒がせたいくつかの子ども虐待の事件を契機として,2000年に「児童虐待防止法」が,続いて2001年には「配偶者間暴力等(DV)防止法」が,議員立法として成立した。
一方,高齢者虐待に関しては,成年後見制度,介護保険法,老人保健法の一部に触れられているに過ぎなかったが,ようやく2003年に,厚生労働省が高齢者虐待に関する全国調査1)を行ない,また横須賀市と金沢市を高齢者虐待防止モデル事業に指定して,対策の推進を図った。
また,筆者らは,昨年8月に国際シンポジウムを開催し2),日本高齢者虐待防止学会を発足させた(第1回大会は2004年7月)。これに呼応して,看護職出身の南野知恵子氏ら国会議員による高齢者虐待防止法立法化への動きや,マスコミによる報道も活発になり,社会的にも高齢者虐待に対する関心が高まった。さらに,松戸市,大府市,名古屋市,世田谷区などの自治体におけるネットワーク会議やケース検討会などの活動が行なわれるようになった。
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