連載 口腔ケアを待つ人々・6
老人性痴呆の進行の影で
迫田 綾子
1,2
1日本赤十字広島看護大学看護部老人看護学
2口腔ケア研究会ひろしま
pp.775-779
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100562
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私の子育ては1970年代でした。ちょうど小児歯科外来に勤務しており,保育園で習った子育てを治療に付き添って来るお母さんに伝えたり,子育て談義に花が咲いたりで,子育てと仕事が直結している幸運な時代でした。
その頃は小児の齲蝕(虫歯)の罹患率が80%以上で,乳歯ほとんど全部が齲蝕になった重症齲蝕の子どもたちも訪れ,治療のたびに大声で泣き叫んでいました。終わったらケロッとして帰っていましたけれど。私はそのような子どもたちの口を見るたびに,「この子たちの将来はどんなになるのだろう」と,心が痛んだものでした。歯は生活環境を表わしているともいえるからです。
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