特別論考
痴呆性老人のケアのポイント
松元 寛仁
1
1脇本病院
pp.380-387
発行日 1988年4月1日
Published Date 1988/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661923130
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はじめに
近年わが国では老人(65歳以上)の増加がめざましく,総人口の10%以上を占めるようになっている.この激増する老人人口の中で,痴呆性老人の占める割合は約4-5%とみられており,現在わが国ではその数は約60万人に及ぶと推定されている.他人事ではなく,実際に身近に痴呆性老人に接するようになっているが,老人人口の増加に伴って当然痴呆性老人の数も増えていくと考えられ,この問題にいかに対処していくかは,今後社会全体の大きな課題となってこよう.
ところで老年期に痴呆を示す疾患はいくつかあるが,その代表的なものは老年痴呆(アルツハイマー型)と血管性痴呆(多発梗塞性痴呆など)である.わが国では前者より後者が圧倒的に多いとされてきたが,近年老年痴呆の増加が著しく,両者間の差は縮まってきていると考えられる.老年期の痴呆性疾患とそれらに対するケアについては,老年期精神障害対策に積極的に取り組んでおられる室伏君士先生(国立菊地病院院長)らのグループの優れた業績がある.それに学びながら,以下痴呆性老人のケアのポイントについて考えてみたい.
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