特集 訪問看護に役立つコミュニケーション技術
ターミナル期の患者と家族とのコミュニケーションを豊かにする心療回想法―回想録の作成を通じて通い合う心
小林 幹児
1,2
1産能大学
2特定非営利活動法人日本デスカウンセリング協会
pp.671-677
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100544
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限られた時間をともに歩む心療回想法
回想法とは,人生の振り返りをするための技法です。1990年代に米国の精神科医バトラーが提唱して広まった精神療法の1つで,日本では療養型病棟などにおいて,入院患者にこれを行なうことで医療保険点数が認められています。回想法を大きく分けると,うつ病患者や痴呆患者などへの精神療法としての心療回想法と,レクリエーションとして用いられる回想法があります。
回想法はいろいろな面で注目されていますが,今後は,死の受容(デスカウンセリング)の効果が期待されています。
心療回想法は,「描画的インタビュー」を基本技術としています。ストーリーを追いかける尋問ではなく,その時その時に感じた「快の回想」を誘導することで,痴呆症状の予防や抑制が可能になり,さらに「人生の肯定」を行なうことで,死の受容の導きとなります。
ここではターミナル期の患者の心療回想法について紹介します。
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