読者の声
回想
後藤 フミ子
1
1門司保健所
pp.44
発行日 1956年3月10日
Published Date 1956/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201139
- 有料閲覧
- 文献概要
陽にとけた霜で田んぼのあぜ道も小道に散り敷いた落葉も未だ湿つている.私は冷い空気を思い切り深く吸い込んでシヨルダーバツグを深く肩に掛け直してさつさと歩いてゆく.門司港駅からバスで約30分黄金の波が刈り取られたあとは特有の模様を残して目の前にひろがる.その間に農家が点在している.
この辺は私の受持の三校区のうちの松ケ江校区です.Aさんの家はバスの停留所の近くにあり,お逢い出来たし,さあ今度はBさんの所だ,安静三度だけど就床しているかな,それとも主婦らしいから家事に追われているのではないかしら…等と考え乍ら約20分かかるという道をBさんの家を目ざしさつさと歩いてゆく
Copyright © 1956, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.