招待席
痴呆ケアの新しい出発点―痴呆を“ともに”生きるということ
小澤 勲
1
,
西川 勝
2,3
1種智院大学
2社会福祉法人健光園・高齢者福祉総合施設ももやま・井伊掃部町デイサービスセンター
3京都市長寿すこやかセンター研究室
pp.613-617
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100486
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―先生の『痴呆を生きるということ』(P.676参照)を読み,感銘を受けました.さっそく「看護学雑誌」に書評を寄稿したくらいです(本年1号に掲載).
僕も今,高齢者福祉総合施設という,病院とは少し違ったところで,痴呆の方とお付き合いをしています.小澤先生も初め病院の精神科医でいらしたのが,最終的には介護老人保健施設へと,ケアの場を変えられましたね.まずはこの経緯をお話しいただけますか.
小澤 原点は,インターンのころに少し手伝っていた診療所にあります.経済的にあまり恵まれない方が集まる地域にあり,そこでは,普通なら抗生物質でほとんど治ってしまうような病気が,なかなか治らなかった.働かなければ食べていけない困窮した環境だったからでしょうね.そのときに「医療の力だけで病いは治らない」ことを実感し,暮らしのなかで患者さんを診る必要を強く感じるようになりました.
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