特集 訪問看護に役立つコミュニケーション技術
在宅療養中の高齢者との信頼関係を築くために
勝野 とわ子
1
1東京都立保健科学大学看護学科高齢者看護学
pp.648-651
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100541
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はじめに―高齢者が看護者に望むこと
高齢者が看護者に望むことは何であろうか。
2003年に筆者らが,地域の高齢者を対象に「看護職者に期待すること」について調査した時に得た回答には,次のようなものが多かった。
「相手の立場に立った対応をしてほしい」
「あたたかな笑顔で接してほしい」
「礼儀正しいコミュニケーション」
「話をよく聞いてほしい」
「本人が言えないことを察して対応してほしい」
これらはすべてコミュニケーションに関することである。このことは,地域における看護活動においていかに高齢者と信頼関係を築いていくかを考える時に,重要な示唆を与えてくれる。
相手の立場に立ち,相手に対する配慮ができることは,信頼関係を形成する第一歩となる。また,専門職としての信頼を得る上で最も重要なことは,効果的なコミュニケーションにより高齢者のニードを知り,それに適したケアを提供して,ケアの受け手である高齢者が「助かった」と思えることである。
コミュニケーションは,単に看護者と高齢者間の意思疎通技術ではなく,援助過程のすべての構成要素に深く関わっている。そして,効果的な,かつ質の高い看護行為を実施する上で,その活動の質を決定づけるものといえる。
本稿では,援助過程とコミュニケーションの関連性,効果的なコミュニケーション技術を用いて高齢者へのヘルスアセスメントを行なう時のポイント,そして正確なコミュニケーションを促進するフィジカルアセスメントのポイントについて述べる。
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