連載 訪問看護 時事刻々
今月の話題 試行錯誤のがん対策
石田 昌宏
pp.679
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100308
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2005年のがんによる死者は32万5885人で,過去最高にのぼった。人口10万人に対し258.2人がその年にがんで亡くなったことになる。2005年の死亡者数が108万4012人だから,全死亡者のおおよそ3人に1人(30.1%)ががんで死亡していることになる。死因の第1位であった結核が脳血管疾患に変わったのが1951(昭和26)年。その脳血管疾患も1970(昭和45)年をピークに低下し,1981(昭和56)年にはがんが第1位となった。そして今やがんの死亡者は,2位の心疾患と3位の脳血管疾患をあわせた数以上,ダントツになった。
心疾患,脳血管疾患は年齢が高くなるほどその年齢での死因割合が高まっていくが,がんはピークが早い。女性では55~59歳が,男性では65~69歳ががんでの死亡割合が最も高くなり,世代の死因の50%を超える。以降は年を重ねるにつれ割合が下がっていく。ちなみに女性が90歳を超えると,がんの死因割合は10%しかなく,老衰とほぼ同じ。したがって,がんの克服は平均寿命を延ばす大きな要因になるといわれており,世界各国で懸命な取り組みが行なわれている。
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