連載 わたしのため・からはじまる在宅介護・7
ALSヘルパー養成講座「進化する介護」
川口 有美子
1
1NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会
pp.694-695
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100311
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専門職と非専門職の協同作業のために
自立支援法で前進することもなければ。たとえば「ヘルパーの医療行為」。2002年,日本ALS協会が率先して全国で17万8千の署名を集め,ヘルパーでも吸引ができるよう国に対して要望したことは,皆様もよくご存知のことと思います。その結果,3年間の時限つき措置としてヘルパーの吸引は認められました。私たちNPOさくら会ではこの容認を受けて,「進化する介護」と銘打ったALSヘルパー養成講座を企画し,2003年の秋から都内で毎月開催してきました。今年4月で300名以上の新人ヘルパーに修了書を発行してきたことになります。彼らは都内近県のALS患者さんのお宅で,支援費制度の日常生活支援従業者として夜勤も含めた長時間介護サービスを提供しています。
このさくら会のプログラム,実に大っぴらにヘルパーに吸引を教えてきたので,当初はあちこちからご批判をいただきました。でもヘルパーが吸引しなければ家族だけが24時間介護をすることになるのです。家族が疲労すれば考えられないようなミスが多発し,患者の命が危うくなります。そもそも無茶をさせているのは,医師法の解釈のほうですから,私たちの活動は法の無情や専門職の優柔不断に業を煮やした当事者が,開き直って自分たちでヘルパーを養成しだしたようなものでした。
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