特集 実践のなかでの体験と学び・2
試行錯誤的な経験を積み重ねながら
塚本 靖子
1
1千葉県がんセンター病院看護部
pp.807-811
発行日 1978年8月1日
Published Date 1978/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918459
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臨床看護の経験は十数年になる.この間,‘看護とは何か’を問いつづけ,具体的には整理できないまま現在に至っている.個別的な看護を目標に,真の意味での看護的援助を実現しようとして,試行錯誤を繰り返してきたような気がする.その繰り返しのような1つひとつの看護実践は,私自身に何らかの影響を与え,体験として意味のあった事柄である.
これまでにみてきた医療の進歩は治療を専門分化し,診療を複雑にしてきている.そして,医療は生命の延長に多大な貢献をなしてきた.その一方,器機によって人を操作する状況をもつくりあげている.その医療とともに看護をする看護婦もまた,器機を通して患者さんを眺める風景も生じている.そうした状況の中で,看護婦は多様な診療の補助的業務に追われ,病める人の人間性を問題にするはずだった看護の視点が,いつの間にかズレていることに気づく者は少ない.
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