特集 認知症の人と家族をどうサポートするのか
在宅認知症ケアにおける診療所看護師の役割―対応困難な行動障害を有する認知症高齢者への往診と家族支援
本多 智子
1
1こだまクリニック
pp.452-458
発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100150
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
はじめに
当院は,高齢者の認知症の方々を中心に,在宅診療を行なっているクリニックである。2002年3月に東京都品川区荏原で開院し,往診の範囲は,東京南東部の大田区,世田谷区,品川区,目黒区が主である。
開院当初は,寝たきりの人や,身体の動きが不自由なために受診が困難な高齢者への往診が多かった。しかし最近では,後述する地域ネットワークなどを通じ,「認知症を自宅で診てくれるクリニック」であるということが周囲の方々に広がってきた。そのため,在宅支援センター,ヘルパー事業所,ケアマネジャーから紹介を受けた,対応困難な行動障害を有する認知症高齢者の方がほとんどである。
対応困難な行動障害とは,易怒的(怒りっぽい)で暴言を吐く,暴力をふるう,不穏で落ち着きがない,精神科受診を拒む,援助者の指示を理解できないといった方々である。
往診先では,介護に疲れ切った家族やケアスタッフの姿がそこにある。
そこで本稿では,当クリニックの認知症への取り組みと,看護師の往診時の介助,家族を含む介護者やケアスタッフとの調整における看護師の役割を紹介する。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.