特集 認知症の人と家族をどうサポートするのか
認知症診断における告知とフォロー体制のあり方―告知を受けた本人と家族の思い
松本 一生
1,2
1松本診療所・高齢者メンタルクリニック
2大阪人間科学大学人間科学部社会福祉学科
pp.446-451
発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100149
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はじめに
2000(平成12)年4月に施行された介護保険法は,さまざまな未解決の問題を残しながらも,この5年間に認知症に対する世間のまなざしを一変させた。決して十分ではないかもしれないが,確実に社会が認知症への理解を深めるための一助になったことは確かである。
社会の認識の高まりは早期診断と対応の必要性へとつながり,最近の医療機器の進歩も手伝って,早い段階での認知症の診断が可能になっている。その際に必ず配慮しなければならないのが,本人と家族の心の移り変わりを考えた病名告知のあり方である。
筆者は1992(平成4)年から,大阪市の北東部にある高齢者専門の精神科クリニックで,在宅の認知症の本人とその家族を支えてきた。認知症診断の精度が上がるにつれて,臨床の場でも,早期の告知や本人への心理的ケアを含めたかかわりの重要性を痛感するようになっている。本稿では認知症診断と告知の際に,診断を下す者と本人および家族を支援する者が配慮すべき点について,自らの経験をもとに考察を加えた。
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