特集 認知症、どうしたらいい?
認知症には往診!地域での訪問診療を実践
上野 秀樹
1
1社会福祉法人ロザリオ聖母会海上寮療養所
pp.33-37
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100886
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私が勤務する海上寮療養所は、千葉県旭市にある199床の民間精神科病院で、すべての病棟を開放病棟として運営しています。当院のある千葉県東総地区では、認知症の精神科医療を積極的に担う医療機関がありませんでした。そこで、当院では2009(平成21)年4月より物忘れ外来を開設し、認知症に対する精神科医療の提供をはじめました。しかし、事前の予想に反して毎月の新患数は1~2名(!)と、診察室には閑古鳥が鳴いていました。いったいどうしてだったのでしょうか?
もともと当院は、1931(昭和6)年に結核療養所として開設され、昭和30年代に『甘えの構造』などの著書で有名な土居健郎先生の指導の下、精神科病院になりました。受診される高齢者にとっては「肺病の病院」、ご家族にとっては「精神科病院」で、受診の敷居がとても高かったのです。実際に来院された高齢者の方にお聞きすると、「昔はこの病院の前を通るときに息を止めていたよ」とおっしゃる方もいるほどです。
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