連載 診療所日誌・1【新連載】
ひとのいのちも自然のなかのもの
小笠原 望
1
1大野内科
pp.58-59
発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100050
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連載開始にあたって:小笠原望氏は元高松赤十字病院神経内科部長。現在は中村市の大野内科(一般内科,神経内科,心療内科)で,地域のかかりつけ医として心のケアを大切にしながら在宅医療も行なっています。自然豊かな四万十川,赤鉄橋近くにある小さな診療所。そこで出会うさまざまな患者さんとの笑いあり,涙ありの毎日を描いた診療所日誌です。
赤鉄橋のたもとの診療所から ぼくの働く診療所は,高知県中村市の四万十川のすぐほとりにある。高知県の西南部は幡多地方と呼ばれ,人口3万5千人の中村市は,その中心の町。四万十川は日本最後の清流といわれ,たくさんの沈下橋があり,蛇行を繰り返す。海水と真水が混じる,その汽水域の豊かな生き物が有名な川である。
四国に台風接近というと,四万十川の赤い鉄橋がニュースで映る。地元の人が赤鉄橋と呼ぶその橋のたもとに,ぼくの診療所がある。診療が終わった夕方,たまに犬を連れて妻と一緒に堤防を歩く。「都会の人にはよだれが出そうな光景だねえ」と,夕焼けのなかの川を見ながら2人で悦に入ったりするのだ。
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