連載 考える
ターミナルケアからの歩み—一看護婦の「物語」・8
病院のなかの自然死
竹内 輝江
1
1大阪府立病院外科病棟
pp.766-770
発行日 2000年8月1日
Published Date 2000/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903533
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医療はどこまで患者の死に責任をもつのか
医療者としてかかわる死には,親戚や知人として死に接するのとは異なる側面があるように思います.私がはじめてその差を感じたのは,まだ看護学生だったころ,実習中にある末期患者が目の前で亡くなったときでした(本年1月号参照).
「患者の死は,自分のせいでは……」と,不安でたまらなかった私に,「この人の死は,あなたの責任ではないよ.人間に寿命があることは,誰の責任でもないのだから」と,そのときの主治医はいってくれました.その言葉を聞いて少しほっとはしたものの,そのとき以来,医療はどこまで患者の死に対して責任をもつのだろうかという疑問がずっと心のなかでくすぶり続けていました.
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