連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・172
大自然のいのちの壮大な物語
柳田 邦男
pp.1124-1125
発行日 2020年12月10日
Published Date 2020/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686201747
- 有料閲覧
- 文献概要
険しい山々におおわれたアラスカの,とある山のふもとに広がる草原の中に,ヘラジカの大きな頭部の骨がころがっている。斜面ではないので,大雨や雪崩で流されることもなく,もう何十年も,いや何百年もか,いのちが途切れた時のままの姿で,そこにあるのだろう。
その不思議な姿の骨を,強烈なインパクトのある1枚の写真に撮った写真家がいる。極北のアラスカで,大地と生きものと人間を撮り続けた写真家で探検家だった故・星野道夫さんだ。星野さんは,すぐれたエッセイストでもあり,鋭い文明批評家でもあった。私は,星野さんの大のファンだ。
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.