連載 迷える・悩める・このデータ・3
「排泄要介助」なのに「介助実施なし」?
星野 桂子
1
1国立医療・病院管理研究所
pp.199
発行日 2002年3月10日
Published Date 2002/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902353
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1993(平成5)年にわれわれが実施した患者調査1)で排泄の「自立・要介助」を問う項目を入れたところ,38.8%が要介助であった。同時に排泄介助実施状況を調査したところ,排泄要介助者3223人中880人(27.3%)は調査日当日に排泄介助を受けていなかった。排泄介助が必要とされる患者に1日中介助を実施しないというのは,どのような状態なのだろうか。
1999(平成11)年に同様の患者調査2)を行なう機会を得た。排泄要介助の実態を詳細に分析したいと思い,「尿意や便意がない状態」「尿意や便意があっても介助者に伝えることが難しい状態」「独りで移動できないため介助なしでトイレに行けない状態」「便器で排尿や排便ができても後始末ができない状態」「おむつや尿器は独りで使うことができても後始末ができない状態」「トイレに行って排泄できるが安静のため床上で排泄せざるを得ない状態」などいろいろ考えてみた。調査票には「移動要介助」「尿意・便意なし」「床上安静」の項目を入れ,これらのいずれかに該当する場合を「要介助」とした。しかしここでも,要介助者7045人中1988人(28.2%)は調査日に「排泄介助なし」であった。
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